全国食肉学校
投稿日:2017年10月11日(水)
先日、日本テレビのヒルナンデスにて、母校である全国食肉学校が紹介されたそうです。
日本から動画を送ってもらって番組を見たのですが、なんだか懐かしくなってしまい、学校についてブログに少し書こうと思います!
※本記事は2017年に作成したものです。学校の設備やカリキュラムなどは変更もあると思いますので、参考までにご覧いただければと思います。
日本に2校の食肉学校
「私の最終学歴は食肉学校」と話をすると、「お肉の学校があるんだ?!」と驚かれることがほとんどです。
日本には、食肉学校が2校あるんです。
茨城県にある学校法人 竹岸食肉専門学校と、群馬県にある公益社団法人 全国食肉学校です。
両校とも伝統ある学校ですが、プリマハム系列の竹岸食肉専門学校と、全農系列の全国食肉学校では、カリキュラムも校風も大きく異なります。
両校とも全寮制です。
日本全国から生徒が集まるので、出身地はさまざま。北海道、沖縄出身の同級生もいました。
企業派遣の方も多いですが、肉屋や農家さんの家柄の人も。
西島畜産では、両校からの実習生を毎年受け入れているので、名札に”実習生”と書いてあるスタッフは、どちらかの生徒さんです。
竹岸食肉専門学校は、祖父の代からのお付き合いなので、50年以上お世話になっています。
全国食肉学校
私は2013年に前職を退職し、4国食肉学校 総合養成科(1年コース)に入学しました。
この上下紺のジャージが制服で、名札も左胸にきちんと付けていないと先生に叱られます。
起床・就寝時間も決まっており、もちろん門限もありますし、毎日寮室チェックがあり(布団の畳み方にもルールがありますし、カーテンもタッセルに入れないとダメ!)、全寮制で規則の厳しい学校です。
ですが、この厳しい規則も、同級生と一緒に寮生活を送り、授業を受けて勉強して、試験を受けて・・・という学生生活が、一般企業に勤めていた後だからこそ、より楽しく感じました。学生って本当に楽しいです。
上の写真の通り、総合養成科49期生の女子生徒は私ひとり。
カリキュラムが異なりますが、3カ月コースには女子生徒が2名いて、この3カ月の間は、休日に日帰り温泉に行ったりなど、寮内で女同士でわいわい楽しく過ごしました。
彼女たちが卒業した後も、総合養成科は私と同じ20代後半の学生や、40代の学生もいたので、高校を卒業したばかりの10代の若い学生達におばはんと馬鹿にされながらも、楽しく学生生活を過ごすことができました。一緒にゴルフをしたりボーリングしたりカラオケしたり旅行に行ったり・・・男子の輪に入れてくれた同級生達は心優しく紳士的でした。(女扱いされていなかった気もします)
運動会やBBQなどイベントも盛りだくさんです。夏場には、学校の近くに流れる川辺でBBQを楽しみました。
学校を一歩出るとこの風景。コンビニも徒歩圏内にはありませんが、自転車を学校が貸してくれます。坂が少ないので、自転車は便利です。
朝は、週番の起床アナウンスで起き、校庭で国旗/校旗掲揚をし、校歌を斉唱し、ラジオ体操をして校舎を1周走ります。
そういえば、こんな雪の日でも外で朝礼をしました笑 朝早く起きて自主的に雪かきをしたり、皆大変だったのに、この写真、なんだかとても楽しそう。
思えば、この日は大雪で交通が麻痺し、寮の食堂が閉鎖され(食堂のおばちゃんも食材も学校まで来れない)、授業で使う肉を持ってきてホットプレートで焼いて凌ぎました。
全国食肉学校のカリキュラム
1年間で学ぶ事は、畜産業界の基礎知識、原価計算(これが一番難しい)や経営学等の座学から、脱骨整形、精肉、加工品、調理といった実技まで非常に幅広くあります。
加工品の授業では、ベーコンを作るのも、豚肉を脱骨するところからはじまります。
ロースハムを作ったり
ソーセージを作ったり
座学では、牛豚の骨や筋肉名を漢字で覚えるのが大変でした。この試験に受からないと、有料で再試験を合格するまで受けなければならないという、シビアな学校です。放課後、それに付き合う先生も辛そうでした・・・
厳しくも優しい古澤先生の座学。
また、農家さんや市場、食肉衛生検査場など、学校を通じてだからこそ色々な場所を見学できるのもとても良い経験でした。
年の功だけあって、座学の試験は有利である私でしたが、実技の脱骨整形作業は力が必要な部分も多く、苦労もありました。
でも、負けたくはない。
と、意地になり頑張り過ぎた結果、
なんと、両手の指全てが腱鞘炎(&ばね指)、マメだらけになってしまったのです笑
軍手を二重にしたり全指に絆創膏を2重に貼って、しのぎました。
困るのは、朝起きると両手の指が固まっていて全く動かないので、なかなか化粧ができないこと。
起きて少しすると物を掴むくらいはすぐにできるのですが、器用に動かすのはまず無理でした。
それ以降腱鞘炎がクセになってしまったようでしたが、今年ロンドンに来て包丁を握ることが減って、最近ようやく治りました!もう大丈夫!
けれど、私が一番好きだった授業は、豚の脱骨です。
全国食肉学校の総合養成科が竹岸食肉学校と違うのは、この豚の脱骨整形の実技が厳しいところ。
将来、豚の脱骨なんてすることはないであろう、大きな肉屋の御曹司でも農家さんの息子でも、全員、豚の大分割・脱骨・整形が決まった時間内に、決まった手順、完成形に出来ないと卒業できないのです。
騒がしい生徒もサボりがちな生徒も、実技が始まると、誰も一言も話さず、全員で時間を競って脱骨をしました。
終わった人から教室を出て行って、休み時間となるので、遅い人は教室に取り残される。
そして事細かに採点された結果は、全員分掲示される・・・。10代の反抗期真っ只中の学生も、真剣にやっていました。
調理実習では、一通りの肉料理を学びます。
原価や栄養価を計算しながら班ごとにレシピを考え、役割分担して作ったこともありました。
鉄分ビタミン豊富を謳い、レバーパンケーキなんてすごいものも作っていました。
9月~12月の3カ月間は、全国各地それぞれの実習先で研修を行います。
私は京都のヒロさんにお世話になりました。
若い人が多い活気ある職場で、関西だからか笑いの絶えない良い職場でした。西島畜産と同じ精肉専門店のため学ぶ事はかなり多く、非常に勉強になりました。
京都のヒロさんは、焼肉店もグループで経営されていて、抜群に美味しい&メニューが面白いので、ぜひぜひ行ってみてください。
全国食肉学校に話を戻しますが、カリキュラムの特徴として、定期的にパワーポイントを使ったプレゼンテーションがあります。これも一般企業に勤めていた私はとても有利でした(•_•)b
自分の伝えたいことを資料にまとめて、みんなの前で話すというのは、会社に入るとよくあるので、その訓練だそうです。
寮生活(掃除や週番など)もこのプレゼンテーションも、班ごとのグループワークがほとんどです。
実技もペアで協力し合いながら行います。年齢も様々ですし、得手不得手も人それぞれ。ひとり狼型の私はこれが苦手なのですが、個々の強みを活かしながらチームで目標を成し遂げることを学びました。
全寮制のため起床~授業~就寝までの全ての時間を、約1年間ともに過ごした同級生と、彼らとの繋がりはかけがえのない私の宝物です。
非常に親身で熱心な先生ばかりで、お肉について総括的に学ぶ事ができます。豚の脱骨ももちろん出来るようになります笑
お肉に少しでも興味がある方、学びたい方は入学をお勧めします!
私はもう一回入学したいくらいです笑