肉屋の熟成牛について考える


昨日は、友人と輸入牛のステーキを食べに行ってきました。私は脂の強い霜降り肉よりあっさりとした赤身肉が好きなのですが、熟成をかけていない普通の輸入牛だと、やはり味が薄く感じられ、寂しい感じがするというか、物足りない感じでした。

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最近流行りの熟成牛。熟成には、”ドライエイジング”、”ウェットエイジング”、”枝枯らし”があります。
“ドライエイジング”は、ブロック肉(分割後の骨付きのまま)のまま温度/湿度/風量を調整しながら乾燥させて冷蔵庫で寝かせる手法。メディアでも度々取り上げられています。
“ウェットエイジング”はブロック肉(脱骨後が多いと思います)を布で巻いたり、真空パックなどの状態で冷蔵庫で寝かせます。これが一番簡単なやり方です。
“枝枯らし”は、枝肉(分割/脱骨を行う前の状態)を、風は当てずに温度/湿度を調整して冷蔵庫で寝かせます。枝肉をそのまま入れられる大きな冷蔵庫が必要となります。

ドライエイジングやウェットエイジングは、赤身肉を美味しく食べる欧米文化の中で培われた工夫ですが、枝枯らしは、霜降り和牛をより美味しく食べる日本国内での伝統的な手法です。

いずれにせよ、どれも微生物の働きで肉が美味しくなる、というのが熟成です。

西島畜産では、熟成ブーム到来の何十年も昔から、”枝枯らし”によって、より美味しい牛肉をお客さまに販売してきました。
ですが、”枝枯らし”をしている肉屋は少数派です。それはなぜか、考えてみました。

最近は昔と違って、当店のようにお肉屋さんが一頭買いをして自分の所で分割・脱骨し、販売するお店は少なくなりました。大半が、市場の近くにある大きな工場ですぐ分解・真空パック、納品という流れです。東京の有名精肉店/すきやき店も、以前私が研修させていただいていた京都の人気精肉店/焼肉店も、市場にて自社で一頭買いはするけれど、分割・脱骨・整形などの作業は他社さんに委託していました。これが主流です。効率的で費用削減にもなりますし、自社に分割・脱骨技術のあるスタッフがいないというのもあると思います。
このようにして、分割前の状態で寝かす”枝枯らし”をすること自体が最近の肉屋ではそもそも難しいのかと思います。

また、他の熟成方法でも同じですが、”枝枯らし”を行うと周りの変色部分を取り除かなければならないので、ロスが多くなります。その後も、肉の変色が早くなるため、分割・脱骨の作業後すぐに売り切らなければなりません。輸送に時間がかかったり、纏まった数を一気に作業して効率化を図っている場合は、難しくなります。

そもそも、輸入牛と違って和牛は熟成させなくてもやわらかいし、そこまで美味しさを追求しなくても良いのでないか、という声もあるようです。バブルの頃は、手間やコストを惜しまない”枝枯らし”をしていた肉屋が多くあったようです。

コスト。
ロス。
すぐに売り切らなければならないという制約。
このようなデメリットがあれど、それでもやっぱり美味しいお肉を提供したい!その想いから、”枝枯らし”行った牛肉を販売しています。
そして、卸センターと精肉店が近接しているからこそ出来る、80年に渡る老舗の技術から成る西島畜産の強みではないかと思います。